『Spotify Sparks 2025』
クローズアップ

音で、カルチャーを、そしてビジネスを動かす。広告事業者向けイベント『Spotify Sparks 2025』イベントレポート

 Spotifyは2025年6月5日、東京・渋谷のTRUNK(HOTEL) CAT STREETにて、招待制ビジネスイベント『Spotify Sparks 2025』を開催。最新広告イノベーションと成功事例を通じて、Spotifyで効果的にファンとエンゲージするためのヒントを紹介しました。

 冒頭、Spotifyアジア太平洋地域広告事業統括のエリサ・ケルサルは、Spotifyが「今やオーディオだけでなく、マルチフォーマットのプラットフォーム」に進化したことを説明。さらに「動画広告と音声広告を組み合わせることで、ユーザーの好感度と購買意欲が2倍になる」と最新調査結果を発表し、Spotifyのマルチフォーマット化がもたらすマーケティング効果を示しました。

『Spotify Sparks 2025』
Spotifyアジア太平洋地域広告事業統括 エリサ・ケルサル

 最初のセッション「The Next Era of Spotify Advertising: Spotifyが実現するユーザーとの深いエンゲージメント」では、Spotify プロダクトマーケティングアジア太平洋地域統括・岡本純一が登壇。岡本はSpotifyの特性について「人々の生活のあらゆるモーメントで利用される数少ないプラットフォーム」と語り、日常に寄り添う特性こそが、Spotifyの広告価値の源泉であることを示しました。また今年5月にリリースされたSpotify広告マネージャーは、「キャンペーン目的別の最適化」「独自のユーザーデータを基にしたターゲティング」「音声・動画・ディスプレイのマルチフォーマット対応」、「ファーストパーティとサードパーティの計測ソリューション」という4つの大きな特徴を持つと説明。実際の企業の活用事例も紹介し、従来手法を大幅に上回る成果を実現したほか、ポッドキャスト再生数獲得目的で実施されたキャンペーンでは効率的な獲得単価を達成したことが報告されました。また、Spotify広告マネージャー内の無料音声クリエイティブ制作ツールで制作された実際の広告音声も紹介されました。

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Spotify プロダクトマーケティングアジア太平洋地域統括 岡本純一
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 続く「Why Attention Matters: 音声ストリーミングの高いアテンションがエンゲージメントを加速する理由」では、電通ジャパン・インターナショナルブランズのスティーブン・リョウ氏とスポティファイジャパン マーケティングサイエンスリードの原田桃子が共同調査による戦略的洞察を発表。インプレッションが溢れる現代において、その質を測る新指標「アテンション」の重要性と計測方法を解説しました。Spotifyユーザーの85%が「Spotifyの広告は押し付けがましくない」と回答しているため広告の受容度が高いとした上で、調査の結果、他のスキップ不可のメディアと比べても約2倍以上のアテンション秒数を達成したことを報告しました。このSpotify広告の高いアテンションは単にスキップできず強制的に広告を見聞きさせられるためではなく、Spotifyユーザーの広告へのポジティブな態度によってもたらされ、それがブランドリフトの向上にもつながると語りました。

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電通ジャパン・インターナショナルブランズ スティーブン・リョウ氏
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スポティファイジャパン マーケティングサイエンスリード 原田桃子
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 「Add More to Your Mix: KDDIのクロスメディア活用」では、KDDIコミュニケーションデザイン部メディア企画グループグループリーダー・後舎満氏とスポティファイジャパン クライアントパートナー・澤田彬が登壇し、Spotify広告の実践的な活用戦略を共有しました。後舎氏は、KDDIがSpotifyを積極的に活用している背景として、若年層への強み、通勤中や作業中といった「ながら聴き」のモーメントでもオーディエンスと接点を持てること、過去に実施した調査から単体でのブランドリフト効果とクロスメディアでの相乗効果も確認できていることなどがあると説明。音声広告ならではの効果検証やクリエイティブのABテストなど、毎回テーマを持ってキャンペーンに取り組んでいると述べ、実際のキャンペーン事例とともに「キャンペーン実施2週間後のブランド認知リフト値の残存率がSpotifyの音声広告は動画広告の1.6倍高い」「動画プラットフォームの広告のみに接触した場合よりも、Spotifyと動画プラットフォームに重複接触した場合の方がブランドリフトスコアが最大1.4倍高い」といった調査結果を発表しました。また、今後チャレンジしてみたい領域として、リテールメディアやOOHとの連動を挙げ、音声メディアとショップやコンビニといったリアルな接点を組み合わせた“立体的なプランニング”にもチャレンジしていけたらと語りました。

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KDDIコミュニケーションデザイン部メディア企画グループグループリーダー 後舎満氏
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スポティファイジャパン クライアントパートナー 澤田彬
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 「How to Make a HIT: Spotifyでヒットを生み出すための最新クリエイティブ戦略」では、スポティファイジャパン クリエイティブ戦略統括・橋本昇平がSpotifyを効果的に活用し、Spotifyユーザーの心をより効果的に動かすためのクリエイティブ戦略の3つのポイント、1) ファン目線で考える、2) クリエイターのように行動する、3) カルチャーとつながる を紹介。Spotify上で人気の新進気鋭アーティストが登場し、「移動」が夢を叶えるための可能性である事を自身のエピソードやおすすめ楽曲を通して伝えるトヨタ自動車のポッドキャスト番組『TOYOTA SOUND TRACK』など、さまざまな企業の実例を交えて、Spotifyだからこそ実現可能かつ効果的なクリエイティブを解説しました。

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 最後の「Connecting with Gen Z through Culture: 日本コカ•コーラが考えるカルチャー起点の若年層コミュニケーション戦略」では、日本コカ・コーラ メディアストラテジー統括・池田哲也氏とスポティファイジャパン 営業本部長・田村千秋が登壇。池田氏は、Z世代に向けた広告施策として行った過去のキャンペーンでは「押し付けすぎない適度な距離感を保ったコミュニケーション」を重視したと説明。Spotifyの「This is 」プレイリストの再生中にCMを流すという特定のアーティストのファンダム向けの施策や、J-POPやアニソンファンを対象に、楽曲視聴後に親和性の高い人気アーティストのボイスメッセージ広告を配信した施策を紹介しました。これによりターゲット層との強い繋がりが生まれ、ファンがSNSで自発的に投稿するなど大きな反響があったと言います。また、Spotifyでは音声、動画、プレイリストのタイアップやインタラクティブな体験を提供できるので、さまざまなメニューをうまく使いこなす事でより効果的な場になると述べ、他のメディアとの組み合わせも重要で、広告体験をマーケティング目的に合わせて設計することがキーであると語りました。その上でターゲット層のパッションポイントを重視することの大切さにも言及。「若い世代は広告然としたものを好まない傾向にあるので、自然と彼らの生活に溶け込むことが重要になる」と強調しました。

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日本コカ・コーラ メディアストラテジー統括 池田哲也氏
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スポティファイジャパン 営業本部長 田村千秋
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 今回のイベントのコンテンツが示すように、Spotify広告はフルファネルでより高い効果をもたらすプラットフォームへと進化しています。。カルチャーの最前線に立つSpotifyは、今後もブランドのマーケティング戦略をビジネスパートナーとして支えてまいります。

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